ここで見たこと

絵描きのなんでもない日々です。トウキョー周辺。

2012/7/3 『ロックの向こう側2012 vol.23』@新宿Marble



ひ さびさ!
のMenozでした!
だって5/6ぶりだ!
2ヶ月!
先月6/22の THE VILLAGE企画『村おこし』、
ではMenozもMenozライブでおなじみの友人たちもいたから(かれら2バンドは縁が深い)、
なんだか逢わなかった気はしないけど。
ほわあ。
感慨深かった。

 
雨の新宿Marble
ついたときにはまだはじまっていなくて、
4バンドすべて観れた。 
 
東京ゴッドファーザーズ
Menoz
SUNDAYS
The Emmanuelle Sunflower
  
ビッグバンみたいな
梅雨を押し上げる濃密な風みたいな
エネルギッシュな夜だったよ。
 
 
感想。

東京ゴッドファーザーズから行こう。
はじめてだったけど、気に入ってCDを買った。
5人編成、
アコースティックギター・ヴォーカル、
エレキギター、
ピアニカ、
コントラバス
カホンと小さいシンバル。
なんだこれ!笑

たしかさ、
力強さ、
確信を持って進む膂力。
夕陽に真っ赤に染まる、巨岩巨石の茫漠と広い荒野を、
遥か昔につけられた、もはやぼろぼろの祭事の飾りを揺らして進む、
一頭のバッファローのアップ。
その瞳の静かさと雄弁と無言。
言い訳をしないこと、
これと思ったものを、外的圧力によって曲げない意志を、維持する勇気。
 
頭っからそんな印象で、
演奏は非常にたのしそうで、
こっちまでつられてにこにこしてしまう、
完全に幸先が良い夜。
カホンてあんな鋭い音がでるんだなあ。
低音が生コントラバスというのは完全に私得。
雨ふらしカルテットとか、Z旗を思い出す類の格好良さだった。
曲調とか編成ではなく、雄々しさ・たのしさ・見据える眼の強さのブレンド感が。
Z旗との対バン観たいなあ、相当かっこいい夜になるだろうなあ。

良いバンド。
また観たいね。
 
 
 
Menozは2番目だった。感想最後にする。

 
3番目、SUNDAYS。
彼等とMenozはたくさん対バンをすることがあって、
前Menoz企画打ち合わせでも一緒になってお話して、
自分のなかでもいつのまにか、
『ちゃんと知っているバンド』になっていた。

SUNDAYSのほんとうにすごいな、
って思うところは、
その真摯さにある。
いつも圧倒される、
『言ってしまう』ちから。
皆が口を噤むこと、
思っているのに口にしないこと(慮り、ではなく保身や諦観によって)、
賢く、なったがゆえにやめてしまうこと。
そういうものをばかにしない、
『向こう見ずでまっすぐでばかなやつら』への愛、
みたいなものを感じる。
正直と愛と応援のバンドだなあと思う。
 
正しいこと、
論理的なこと、
効率の良いこと。
『発展』や『ルール』には少なからず、
ひとであることがうまく噛み合ないことがある。
感情は切りはなせないもののはずなのに、
果断で雄弁でマスなものに、黙らされてしまうことがある。
それに憤っても、
悲しんでも、
悔しく思っても、
呑みこまざるをえないひとも多く、いるだろう。
そういうことに、ひとに、
『余地』を与えてくれるバンドだなあ。
と思った夜でした。『』多いな。
 
あとあれよね SUNDAYSの魅力には、
『やんちゃである』という部分がおおいにあると思う。
やんちゃかわいいなあ、と思うひとは、
年齢問わず多そうだ。
ギターとベースが一緒にコーラスしてた曲がとっても良かったのだけど順番とか歌詞とか覚えていない。またあれ聴きたいな。 
 
 
この日のとりは、
The Emmanuelle Sunflower でした。
こちらも東京ゴッドファーザーズとおなじくはじめて遭遇するバンド。
6、7人のバンドだったのだけど、
インディアナな扮装と、
開放視点の音楽で、
非常に、そう福生的だった。
かれらがチキンシャックで演奏しているさま、
客席が沸いているさまが実際あったかのように思われた。
この、開放を空気と空間に伸ばしていくかんじ、
天国畑JAPANやindus&Rocksに通じるものがある。
長時間かけて精神と生身の感覚をとけあわせていくような。
客層もそんなかんじだったね。
お酒、ゆるファッション、どこかでみたような、
でもどこにでもはいないひとたち。
たのしいことときもちいいことがだいすきで、
ハッピーにいこうぜ、ってひとたちだ。

演奏中の、キーボードのひとの距離、音のポジションがなんだかよかったなあ。
全体に、年長者の経験と時間に裏打ちされた揺るぎなさと、
相手の目を見据えてどんなことでも言える・発言からなる影響をすべて自責にできる確固さがあった。
こういうものにふれて、Menozにどんな化学変化がおこるかたのしみ、と芯から思った。
 
 
さて。
驚きの2ヶ月ぶり、
この日は2番手だったMenoz感想。

セットリスト。

    • -

僕らのナツ。
ウェザーリポート
いつかのユーレイ(new!)
はじめてのなつやすみ
現代のケモノ


ナツスタート。
そうだよね、やっと本領・7月/夏がはじまったんだから。
はじまりの音にぞわぞわする。
いちばん夏を待望しているバンド。
 
東京ゴッドファーザーズが、
演者と観客で対峙して、わくわくした感情の粒みたいな、
振動や空気でやりとりして場をつくるやり方なら、
SUNDAYSが圧倒の存在感でもって、
ライブハウスを世界の全体にしちゃうバンドなら、
The Emmanuelle Sunflowerはここがぜんぶのいちぶで、
ここにいながらすべてにつながってる、って思わせる音楽なら、
 
Menozはつくりこんだ世界を、
差し出して提示して展開して、
いつのまにか引き込んでいる、精工で流動の立体劇場みたいなバンドなんだ。
 
夏がはじまって、
この日の曲は夏尽くし。
 
ウェザーリポートのアレンジが恰好良かった、
気がする。
音楽知識がないので、流れていってしまうのだけど。
どれだったか、既知の曲で、いつものアレンジからとっても変わっていて、
かっこいい曲があったなあ。
ウェザーリポートで際立った思われたのは、
ベース&コーラスのよしやさんが、
低音つよく、コーラスも低くなっていたこと。
高い裏声のコーラスをやめたのは、
この晩全体に雄々しかった、男バンドのよな印象に合わせてか、
それとも、1年強、Menozでやってきて身が馴染んだからか、
後者の方が強い気がするなあ。
音がわーんわーん反響して、
真っ白な陶器の球形大ホール(それはもう)、
そのまるの底で、演奏を聴いてるみたいだった。
 
新曲。
聴きたいききたいって伝えてたのが報われたのか、
ちゃんと聴けてうれしかった。
 
やっぱり、Menozって変だ。
 
おばけの曲、夏の幽霊の曲、
そんなチョイスもさながら、
こんなにこんなにこんなに恰好良い曲にしちゃうんだから!
だいすき。
 
まるでここは空気静物たちの高速道路で、
生身の身体に風の鯨がぶつかってくるみたいだった。
 
水晶でできた虹色鍵盤、 
雷雲のベース、
ばねじかけのギターのおもちゃ(ギターのためだけの!)、
ドラムは土を叩く亜熱帯のスコール。
 
主演、ひかるちゃん(これはすべてひかるちゃんのお人形遊びや、空想のお話、というような質量と熱量による)。

そういえば6/22の私はずっと変化していく絵のことを考えていて、
音楽も1つの曲がずっと凝らずに変わっていくものがあったらいいのに。
そういうバンドが1つくらいいればいいのに。
と思っていた。
口伝の伝承に変化がついてくるように。
宮沢賢治が出版後も自著に推敲をかさね手入れしたように。
終わってから訊いたらね、
これがその曲だったよ。
「ずっと変わってく曲があってもいいかもなって」
っててつさんが言っていて、
それはまさに求めていたものなので、
たいへん驚き、べらぼううれしかったのを覚えてる。
歌詞知りたいけど歌詞も変わるらしい(笑)。
 
男曲、というかんじだったな。
凪よりは大嵐、
パステルよりはアース、
白よりは黒で、
縮緬よりは紬、
お菓子よりはごはんだ。
歌詞がまったくききとれないので歌詞がききたいのが悔やまれるところ。
 

静かな曲ほど技術も際立ち、
クラシック・バレエのポワントのように、
軸、速度、手指の形、ひるがえるスカートの描く円の軌道がみえる。
 
はじめてのなつやすみ はそういう曲だ。
知らないものと知ったことと、
地続きの今日がまっさらなこと。
ノスタルジィとは喪失を、
もう知る前には戻れないこと、得てしまったことを云うのだろうなあ。
こちらは歌が全面の、沁み入るような曲だった。
はじまりの言葉の部分は、
まるで連載アニメのはじまりで、
一貫して物語の気配が濃厚な曲だった。

 
 
MCをはさんで、
無音。
「水を打ったように」。
 
ぞくりと血のさわぐ間とタメの演出が、
ケモノの顕現に重なって、
そう、現代のケモノはこういう曲だ。 

気泡が連なって、底から大きなものがあらわれる予感。
思い出すこと。
いつか考えていたはずなのに思い出せないこと。
いまこの身の抱えていること。
抱えているはずのこと。
幻肢痛のよう、かつてあったはずの場所が痛む。
鳥肌と寒気と熱が止まらない、身体にあらがえないこと。
感情のやわらかく、生々しく、傷ひとつですぐにも破裂すること。
きれいの下でもがいていること、
でもここにいること。
(今回これのみ、思い出すのじゃなく、
現代のケモノ音源を聴きながら思いつくまま書いてるだけで、
文章を明確にどこかに運ぶ意志はないのだ)
 
そういうものの詰まった曲だとは思うけど、
演奏中はもううれしくってたのしくってかっこうよくって、
にやにやにやにやしてただけの気もするなあ。
最前ひとりじめだったんだよ、今回。笑
 
 
 

そんな夜だった。
エネルギッシュ。
なんて良いイベントだったんだ。

 
Menoz夏のツアー
http://menoz.jp/2012_summer/

東京ゴッドファーザーズ
http://tokyogodfathers.net/top.html


いまタブにあるものだけ応援リンク。
ふあー。
4バンドとも良いバンドだったよ! 
 
 


 


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