ここで見たこと

絵描きのなんでもない日々です。トウキョー周辺。

高速道路と雨のこと

 
高架や高速道路、工場がすきなひとの気持ちが最近判ってきました。
 
 
機能に注力してつくられたものもの、
その大きさと無骨。
工場はほんとうに工場のマークのかたちをしていた。
連なる斜め屋根のぎざぎざ。
空にまたがる大きい道路、
橋を支える均等配置のワイヤーたち。
ジャンクションの隙間。
 
眠気防止の高速のトンネル内の段々。
カーヴに沿った赤い矢印。
左右対称、身の丈ほどの対の非常口ピクト。
かんと抜けた空、
雨に夜に煙る空の向こうの山々。
春も夏も秋も冬もない、
深山幽谷の相の墨絵の峰の間にもやもやと、霧。
ただ走るためだけに切り開かれた道の、
生態学と走行機能に徹した、
曲線のうつくしさとか、
そこに並ぶライトの整然。
速度に比例して身体にかかる圧。
 
打ちこみのクラブ・ミュージックに溶け込む映像みたいな雨のようす。
フロントガラスをかけのぼる雨粒。
着打の瞬間散って天方へ向かって流れる、
ひたすらの繰り返し。
はじけてフィルタみたいに窓ごとの視界を覆う。
トンネルごとに視覚情報としての雨は消えて、
抜けるといっせいに打ち付ける、その間断の音。
 
ただただ空は円くってひろくって、
車も乗ってる人も街も家もミニチュアみたいにみえる。

 
高速道路が非常にたのしかったというオチのない覚え書き。
 


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