「話してあげて、戦や王さま、象の話を」
図書館で、誰にも見つけられなかったような本、朝靄の砂浜に隠された一粒の宝石みたいな物語を見つけるのがすき。
「話してあげて、戦や王さま、象の話を」
なんて美しいタイトルだろうね。
美術の英傑、ミケランジェロがトルコのスルタンに橋のデザインを依頼される話。
いつか逢うたったひとつの言葉、ほんの一文の為に本を読んでいる。
そう思わせてくれる文章に出逢うことがごく、ごく稀にあって、この物語はそんな、煌めきや真実やあらゆる秘密を凝縮した粒粒の玉石の散りばめられた華奢な宝冠、
または過去の人々によって沢山の宝物、ユーレカの聲、誰にも教えたくないけど貴方にだけと教えるような手紙、そんなものの隠された誰もいない原っぱみたいな本だった。
この本を読めて、本当に良かった。
そう思わせてくれる本は少なくは無いけれど、いつもあたるわけではない。
大人になった私は文庫本が持ち運べる世界、小さな真実の書、ふんだんな細やかさで作られた贅沢なオブジェクトなのでだいすきなのだけど、
この本は文庫が無いのだよなあ。
ハードカバーだけど、買おうかな。
おすすめです。