ここで見たこと

絵描きのなんでもない日々です。トウキョー周辺。

『星見遣りの灯台』


低温荒野のむこう、
ぎざぎざの樹を従えた、
おおきな塔があった。
 
鳥の嘴、大きな目、フードの人々。
太古の記録を追っている。
塔のてっぺん、居並ぶ彼ら。
上空を指す丸硝子の円遠鏡と、かわるがわるの記録。
 
天空。
常雲でけぶる空、
すぅっと先に、闇を払う光があると云う。
記述に、『星』とあった。
 
長いこと、この地は暗くて、
彼らは曇り空と同じ時間、星を望んだ。
せめて一度。
 
かたかたかた。
円遠鏡の回る音。
風を読み、雲を計り、星を待つひとびとのはなし。