2010-07-09 『星見遣りの灯台』 考えごと 低温荒野のむこう、 ぎざぎざの樹を従えた、 おおきな塔があった。 鳥の嘴、大きな目、フードの人々。 太古の記録を追っている。 塔のてっぺん、居並ぶ彼ら。 上空を指す丸硝子の円遠鏡と、かわるがわるの記録。 天空。 常雲でけぶる空、 すぅっと先に、闇を払う光があると云う。 記述に、『星』とあった。 長いこと、この地は暗くて、 彼らは曇り空と同じ時間、星を望んだ。 せめて一度。 かたかたかた。 円遠鏡の回る音。 風を読み、雲を計り、星を待つひとびとのはなし。