【「そのとき隣の世界では」展示作家紹介】齋藤州一
楽園。
【齋藤州一】
らく‐えん〔‐ヱン〕【楽園】
苦しみのない幸せな生活ができる所。パラダイス。
それと、彩り豊かで、精緻で寛容で、時間を超越しているところ。たぶん。
彼の作品はきちりとしたデジタル作品、でもどこか柔らかい。
そこで踊る色色は、時間を失くした平面のなかに、収まるべき場所を持っている。そこにいるだけでどこにでもいる場所をもらってる。
そのなかにいるだけで、憂いない無限の夢幻の連鎖反応を繰り返す。
例えば動物。
脈々と生きてきた血の歴史の、進化の末は必然の機能美で、
その血の、その毛の、その骨の、筋の、爪の牙の角の、瞬きの有無の殖え方の違いのそのすべてに潜む理由があって、
ただ一つ変わらないのは、「善くなろうとしていまがいちばん新しい」こと。
例えば鉱物。
その結晶に至る道筋はどうやら極小単位で定められた摂理で、その記号名や式すらもうつくしい稀有で嘘みたいな煌めきの塊。
反射性、発光性、堅牢性、脆弱性、電気伝導性、結合力、有彩、無彩。
ただ一つ変わらないのは、「それがそこに在ること」。
齋藤州一さんの作品はそういう、普遍の不変のうつくしいもの、まるで楽園みたいな塊にみえる。
それぞれに特別な意味はなくとも、組み合わせることで見えてくるその歴史。
意味をもつまでの固有の物語。
組み合わせに潜むメロディ。
あたらしく、懐かしくない、でも血の記憶がしっている幸福な楽園。
そういうものを示して、まだ出逢ったことのなかった自分の考えに近づける。
斬新不変の新媒体。
予知と余地のあるやさしい鏡。
そんなものに見えます。
ユーレカ!
今回唯一のデジタル作家ですが、温度がないのに温度のある、非常に恰好良い展示をしてくれることでしょう!
非常にたのしみです!
みなさまもお見逃しなく!
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