ここで見たこと

絵描きのなんでもない日々です。トウキョー周辺。

【「そのとき隣の世界では」展示作家紹介】藤田美和

 

おじいちゃんの瞳に宇宙。


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【藤田美和】



おじいちゃん、ってモチーフとしてとてもすてきだなあと思うのだけど(実存ではおじいちゃんもおばあちゃんもすきです)、彼女の作品は、その一番イノセントなところ、おじいちゃんのおじいちゃんたるイメージの上澄みと深奥、年月と、「生きものであること」を掬いとっている。

どこかにおじいちゃんたちの住む里があって、
きっとそこは言葉少なに穏やかに、ゆるやかだけれど確かに進む時間があるだろう。

素っ頓狂なのにするりと状況を世界を連想させる絵は、
箱庭みたいに建物や小物がしっかりしているから。
彼女の中には幾つもいくつも入り口があって、それぞれが色とりどりの寒天みたいにすっきりした原理の物語なのだろうと思う。

無垢で純一。
在ることは在ることで、嘘も本当も善も悪もない。
日々を営んでいる確かさと、幻想みたいに奇怪な不確かさが同居していて、ぐるり、一枚の集約に呑み込まれる。
この穏やかな世界をもっとみていたいなあと思う。

強いアプローチでおじいちゃんものを描いてくれることになりましたが、違ったものを描いていきたいそうで、老翁系はしばらく描きおさめになるそう!
すぐにも絵本にできそうなおじいちゃん宇宙を見るなら、今回がチャンスです!

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