ここで見たこと

絵描きのなんでもない日々です。トウキョー周辺。

はっさく

 
はっさくを食べた

いただきものの三つめのはっさくは、これで最後になってしまった
くだものを食べるときによくやるし、思い出すのが、アメリカの初等教育だ
なにか(たとえば林檎を)食べる前に、よく見て、触れて、舐めて、嗅いで、対象をよく観察すること
口にいれてからも、触感や食感に留意すること
なに法といったか、名称は忘れたのだけど、おもしろいなあと思ったので、以来気が向くと試している
苺、桃、林檎、梨、すいか、蜜柑…
くだものじゃなくてもそうなのだが、自分の食べているものを、普段いかに観ていないか気付かされる
 

はっさく
柑橘類はたくさんあり、外見からはよくわからなかったりして(これは北方の雪の色(とその呼称)、作物の出来具合、物書きの選ぶ言葉や、絵描きの選ぶ色とおなじで、専門の微細な違いだ)、
はっさく、に関してもなんだかふわっとしたイメージしかなかった
甘いのか苦いのかもわからなかった
厚みのある外皮の両端をナイフで削いで、そこから手で剥いていった
感じとしてはグレープフルーツが一番近く、なぜグレープフルーツのほうが有名なのだ、日本、と思った
中の薄皮も剥いて、崩さないよう一房ずつのむき身にする
器にいれる 
ぎゅっとつまっていて、周りは少し固い
香りはほのかにするが、果汁と一緒でとじこめられている
しっかりと閉じられていて、果汁がしみ出すようなことはない
つぶつぶとした実の部分の幾何学的な集結があまりにうつくしい
白く薄靄のかかったような、他に類をみないしめやかでかそけき橙色だ
日にかざすと、透けながらも若干翳り、灰味がかった明るい橙とった不可思議な様相になる
唇で食むとひんやりと滑らかで、歯をたてるととたんに瑞々しく変容する
歯ごたえはわりに固めだけれど、しっとりとした果物の範疇をでない
水では到達できない乾きにじんわりとしみる
甘味はたしかにあり、かつ控えめで、甘すぎたり苦すぎたりということもない
おいしい
 
 
はっさく
あまり馴染みがなかったけど、すきになりました
 
 
 
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