ここで見たこと

絵描きのなんでもない日々です。トウキョー周辺。

その進化はなんだったのか。

 
  

ナマケモノ。
怠けているわけじゃない。
チーターみたいに速くない。
ゴリラみたいに力もない。
ライオンみたいに強くもないし、蛇みたいに毒もない。
蟻みたいに蜂みたいに、数でも組織でも生きていかない。
うさぎみたいに気付けないし、ガゼルみたいに逃げられない。
象みたいに大きくないし、猿みたいに器用じゃない。
ペンギンみたいに泳げないし、ツバメみたいに飛び立てない。
亀みたいに固くないし、からすみたいに賢くない。
 
速く、つよく。
生物が進化していく主流から、ナマケモノは外れている。
その進化はなんだったのか。
 
 
ナマケモノの筋肉は、同じくらいの体重の生物の、半分ていどしかない。
たいがい樹の上でじっとしている。生涯のほとんど。
低燃費とひきかえに、速さを捨てた。
その替わり、ちょっぴりの葉を食べるだけで生きていける。
子を産んだ母親を除いて、ひとつの樹に生涯棲んで、毎日すこしの葉を食べて、週一度降りて排泄をする。栄養は半分くらいは樹に戻り、樹とナマケモノの半永久的なループができる。
長年生きたナマケモノには苔も生え、毛のなかや間に極小の生物が棲みつく。
高い高い樹の上には、たまのピューマやなんか以外は、大きな危険なんてない。
   
そんなナマケモノの、唯一の天敵。
ワシが来ると、腕力もないナマケモノは、するっとさらわれてしまう。
やわらかい肉はやすやすと裂かれてしまう。
   
危険のすくない樹の上で、ワシの接近に気付けたナマケモノの個体だけが、唯一の回避行動をとれる。
ワシに見つかったナマケモノは、ぱ、と手を放します。
彼らにとって、落ちることが一番速い動き。
ワシからは助かりますが、落下したナマケモノは骨折します。
筋肉のすくないぶん、身体はやわらかくて治りが速いそうですが。
 
 
そんな話を、「スロウアート展」に出展のきまったあとに聞いて、私はナマケモノ描くっきゃないな、と思いました。
それでも彼らは落下を選んだ。
肉食の四つ足の動物が迫るかもしれない。決定的なところを折って死んでしまうかもしれなくても。
ゆるやかでゆっくりで遅い、ということは、(その動作のあたえる印象とは裏腹に)懸命に生きていないということでない。
あんまりびっくりして、心に焼き付いたエピソードのひとつです。 
 
 
…というわけで、7月から寝かせに寝かせて閃いた、そんな作品を出展してます「スロウアート展」。デザインフェスタギャラリー原宿で開催中です。
 
展示告知の詳細:http://d.hatena.ne.jp/knnl-ai/20110925/1316877462
ギャラリーHP:http://www.designfestagallery.com/
ギャラリーHPの紹介ページ:http://www.designfestagallery.com/form_jp/gallery/exhibitors/detail.php?id=Y000016994&y=2011&m=10&d=2&chkd=1&chka=0&chkw=0&chke=0&chkpo=0&chkpi=1

 
なんと、あっという間にあと3日。
明日もしかしたら、17時くらいに行けるかもしれないです…がいやでもどうだろう…まだ未定です。搬出日までにどうにかもう一度行きたいのですが…
Twitterなどでまた連絡します。 
 
ちらっと公開

黒い服のおねえさんで絶妙に隠れているのが私のスペースです。笑
 
これの左下も。

べらぼうな色となっておりますので、ぜひ視認していただけたらと思います…。

 
 
二棟あるDFGの、EASTのこの壁。
DFGのスタッフでもあるぱんだ描き、通称「ぱんだ」さんプロデュースの一群なのです。
「スロウアート展」のなかでも、ぱんださんが個人的に動いて、彼の目(キュレーション・作品とひとを繋ぐ力のなかでとりわけ文章にすごくちからのあるひとだと思っております)、一種のフィルターを通して選ばれた作家さんによる作品は密度高く各スペースにおさまっております。かなり良い感じになってます〜
呼んでいただけて光栄^^

ぱんださんの作品は左上のこれ。

時計も込みで作品です。
ゆったりと絵に時間をかけること。そんなことを提示された作品はとっても「スロウ」を孕んでいるし、個人的には、「作品とひとが向き合うこと」をいつも考えているぱんださんそのものを彷彿とさせます。
 
全2ブース、じわじわとぱんださんによる個別紹介がはじまっています。
DFGのなかでも、「個人見解」を濁さずに書いた異色のブログは、興味のなかった作品もみたくなるというものすごいプロデュース力で、私すごいすきなのです。
(12ブース中紹介された作家さん3人↓の記事)
http://designfestagallery-diary.blogspot.com/2011/10/mika-nitta.html
http://designfestagallery-diary.blogspot.com/2011/10/blog-post_8346.html
http://designfestagallery-diary.blogspot.com/2011/10/blog-post_8346.html
 
私今回DFG二棟全スロウアート展示のなかで、1、2を争うくらいすきなのが、上記URLの3番目の記事の「さつかわゆん」さん。
恩田陸を連想してしまいました。
ものすごい求心力のある展示です(作品売れてしまうと全容はみられなくなってしまうのですが…)。


 
 
ぱんださんご本人を除き、左から順に書いていってるようなので、順番がくるのがいまからえらいたのしみです。
あのフィルターにかかってみたい、と思われる感想書きってすごいなー、といつも思います。
タイトルも各作品に合わせてはじめの写真に添えてくれている形式なので、なんだかかっこいいタイトルにすればよかったと思いもしますが…コンセプトは曲げられないやー。
ナマケモノの名前がそのままタイトルになっております。 
販売もしております。
ささやかなゲストブックも置いてあります。
10/8土曜日まで。
よろしくお願い致します。
 
あ 土曜は午後じゅうDFG原宿に在廊します。
あと、現在渋谷のダイニングバーGROOTSでも展示中でございます。こっちは11/5まで。 
http://dining-groots.com/



おやすみなさい。