空がきれい。
朝、しめじと刻み生姜と、ベーコンのパスタを食べ終えて、ベランダの窓を開けた。
服はまだパジャマのまま、半纏を着て、白湯を飲みながら、窓辺に立ち尽くしている。
芯からあたたかそうな橙、
高く抜ける紺、
間のうすいうすいすみれ色。
薄紫の領域でひっそりと 針のような、腰掛けられそうな、下弦の月。
すっと視界に入る いっとう光る星。
雲はひとつも見当たらなくて、世界でいちばんおおきなグラデーションは、靄みたいな、のっぺりした背景みたいな、ひどく現実離れしたものだった。
ひとが自然に憧れるのに、虚構みたい、と思うの。
嘘みたい。
つくりものみたい。
世界中つかった、おおきなスクリーンの完璧なグラデーション。
すみれ色が空に引き上げていく。
地球ごと舞台の幕開き。
言葉を重ねても届かず、また空に憧れて色を紡ぐ。
記事を書いていたら、すっかり朝の領分だったから、嘘みたい、とまた思うのだ。