ここで見たこと

絵描きのなんでもない日々です。トウキョー周辺。

行き先は 水底。

鞄には 物書きにもらった琵琶と、遠心低熱発酵の 胡桃と干しぶどうのパンが入っている。
 
雲が、高速道路の車のように競って流れ、遠雷。
ちらちらと閃光は 曇り空に彩り。
 
泣きたい気持ちをドットのシャツで覆って、六弦弾きから貰った腕環をさする。
 
 
悪天の空が よそよそしくて、皮膚を肌の恋しさが引っ掻く。久々の文字が 告げる。
 
清楚な白紺、プリーツスカートの女子高生。
世界は携帯電話で溢れている。
座席の仕切りに、キス。
雷は行く手を阻む。もう夏だなんて。

未だに私は、恋情の本流を見極められないまま、水底へ沈んでゆくのだ。