ここで見たこと

絵描きのなんでもない日々です。トウキョー周辺。

飛び石みたいに

f:id:knnl-ai:20160428112957j:image

生きていると「知っているけどよく知らない人」とか、「何度も会っているのにちゃんと話したことのない人」がたくさん現れる。
「昔はよく会っていたけど暫く会っていない人」とか、「そんなに頻繁には会わないのだけど数年ごしで会う習慣になった人」なども現れる。
勿論「そんなに間を空けず会う人」や、「月に一度くらい顔を合わせるくらいはする人」も。
「極僅かの期間密に会っていた、いまは会わない(会えない、という場合もある)人」もいる。

自分の生は生涯自分の身しか経験ができなくて、その進行する線に平行する線が現れたり、交差する線が他の人の生なのだと思う。
自分の一生を自分以外が追体験できないように(乳幼児期・無意識・眠り・混乱や喪失等言語外の存在)、誰かの一生も自分は一生分からないままだ。

それでも、たまさかタイミングが合って、思いもかけなかった人のたくさんのことを理解できることがある。
共有した時間がそれの一番わかりやすい尺度ではあるけれど、たった一夜、たった数回の邂逅で人の芯に触れることがあって、そういうものを持ってその人が生きてきたこと、それを聞く機会に恵まれたこと(自分が生きて、その人に出会い、その話を聞くことになったそと)、それを話してもらえることが、どんなに得難いかと後日しみじみとすることがある。


生きることは全然上手くないけれど、生きるのはこういうことがあるから本当にたのしいなと思います。

みんないろいろあるからそう会えないけどね、輝かしい夜をなるべく覚えていたいね。





zootopia字幕とピクサー展と語る夜について

f:id:knnl-ai:20160427014054j:image
こんばんは。

今朝は何故か4時頃まで起きていて、本当に何故だろうね。眠たかったのにね。そしてベッドて眠って8:30頃にまた起床しました。なので一日眠たかった。


今朝は朝からたくさんの野菜をゆっくり摂れて、楽しみにたのしみにしていたzootopia字幕を公開から3日、やっと観られて、そして夏からずうっと心待ちにしていた東京都現代美術館MO+ピクサー展に行ってきました…!!!

春の野菜たち、製作者の意図通りの音のzootopia、ピクサー展半分、そして名古屋気鋭のギャラリストとのお話。
今日は本当に佳いものしか身に入れていない。すごい。

f:id:knnl-ai:20160427014124j:image

春の野菜たちは、

鍋炊きごはん
えのきと大根のスープ
サラダ(リーフレタス、きゅうり、トマト)(自家ドレ)
油揚げと水菜のおひたし(ぽん酢、黒胡椒)
辛子明太子
煎茶(熊本深蒸し茶

というメニューになって朝からしっかりゆっくりと贅沢な朝ごはん。あまり朝ゆっくりたくさんを食べられることはないからねえ。
春は旬のものが活き活きした彩りになってくる。嬉しいね。
お煎茶もおいしい。
  
f:id:knnl-ai:20160427014853j:image

zootopia字幕はもう、もう、待ってました…!
嬉しい…!
zootopiaはほんと、最高峰の表現集団の最高の表現なので2回なんかじゃ全然見足りない…
評判の良いビジュアルガイドも買って一通り読んでから行ったのだけど、ニックの服装デザイン、ジュディの瞳、隠れミッキー、一度観た上でのキャラクターの振る舞い、ズートピア各エリアの驚きに満ちた美しさを観ていたら本当にあっという間で、淋しいくらいだった。
字幕だからやっと意味の通じる箇所もいくらかあって、でも吹替故に最高にキャラクターを魅せていた箇所もあったので、本当に幾度も見応えのある作品だなあと思いました。近々また行きますね。


そして、そう、ピクサー展。
これは夏に日本科学未来館ポケモン展に行った時にフライヤーをみて、そのときからずっとずっと気になって心待ちにしていた展示で、きっと何度も行くだろうと思ったのですが案の定一度では全然観きれなかったのでまた行きます。2時間かけて半分もみられなかった。
すばらしい展示を集中してみていると、心身ともにものすごく疲弊するし、脳内の処理が追いつかないのですが、一度きにみることでの感慨というのもあるのでバランスが難しいところです。
一階の9割しかみられなかったので、次は3階をじっくりゆっくりみようと思います。5月の課題。


今日は元々、名古屋気鋭のギャラリー「龍屋」のオーナーより「ちょっと東京案内してよ〜」と仰せつかって軽くアテンドしてきました。
今一番推しの展示はピクサー展でしょ…! 
と興味が合致してピクサー展に。日本科学未来館のゲーム展も行きたいねえ。
ピクサー展、GW前の平日だからかさして混んでおらず子供が走り回ったりもしてなくて、存外静かにゆっくり観られました。
しかしピクサーの舞台裏を露わにする度合いが凄すぎて全然みていないです。一階と三階に展示が展開されているのですが、一階の9割しかみられなかった…!
きっとまた行きます。
やっぱり凄いなあ…。
結構観てない映画やうろ覚えの映画が多いのでちょっと予習復習してから行こう。
f:id:knnl-ai:20160427014030j:image


龍屋さんとはピクサー展ではまあそうなるよねという感じですが完全別行動がっつり入ってみれました。見応えのある展示は本当にしっかり魅入ってしまうので、しっかりみるタイプ別行動気にしない人だとありがたいね。
そして折角いらしてるし東京っぽいもので時間のかからないもの…と思って恵比寿猿田彦珈琲に行ってきました。朝から深夜までやっていて確実においしい珈琲屋さん。
喫茶店文化カフェ文化の名古屋人にも安心して紹介できる。
先日友人が飲んでいてそんなメニューあるんだー、と飲みたかった「洋梨生キャラメルラテ」 を飲んできました。おいしかった…!
フレーバーラテ本当においしいな、って思った記憶があまり無いのですが、流石のバランス感でものすごくおいしかったです。
やっぱりすきだわ…。
猿田彦フレンチを買ってきました。
最近お茶続きだったからおいしい家珈琲嬉しい。

f:id:knnl-ai:20160427013838j:image

f:id:knnl-ai:20160427014827j:image

そしていろいろお話をしてきたら、愛知のあるアートシーンの歴史を紐解くことになったり、これからに繋がるいろいろを考えさせられたり…してきました。
画家としての立場で人としっかり向き合って時間を使って話をするのはとても久しぶりだったのだけど、日々考えていることは膨大にあるので話すことは尽きない。
一番だいじなのに一番ないがしろにされてしまうこと に関して一生懸命な人とそれに関して話すのは、得難い。得難い。

きっとこうだとこれがと思って生きているけれど、それを自分だと思っているけれど、それに対して同じスタンスでいる人に出逢えることってそうないよ。

もうちょっと目に見える形で何かしようと思いました。
春だし。

すごい日だったな。
おやすみなさい!


f:id:knnl-ai:20160427014802j:image



自分だけ知ってる全部

f:id:knnl-ai:20160425114101j:image

f:id:knnl-ai:20160425004444j:image

4/23zootopiaを観てきました(公開日でした)。
Twitterに書いた真面目な感想。

『zootopiaの真面目な感想を書くと、極寒から灼熱、薄暮から宵闇、太古の密林から現代機器、ふわふわから光まで、あの映像美を完全に生かし尽くす環境と状況を溶かし込んだ見どころ駅にしか停まらない、心理も差別も挫折も犯罪も満載の、希望行き現代表現最新特急だったよ…!! だいすき』

MUもそうだけど、人間が一切出てこない別の生き物たちの街とか、文化も見られる作品が本当にすきなんだと思う。
zootopiaは何回も観に行きます。本当にすきだ。
朝からずっとそわそわしていたんだけど当日に観に行ってよかったなあ。時間の都合で吹替だったのだけど、次は本命の字幕。たのしみ。
ストアも映画館もゲームセンターもグッズたくさんあった。


帰ってからは返却の迫っていたヘラクレスを観て、眠ってしまって朝続きを観た。
ヘラクレス今まで観たことがなかったのだけどなんとなく思っていたよりずっとポップなカラーでずっと3D感があった。ファンタジアの精霊たちのカラーだね。ゴスペルの神話がたりからヘラクレスのシーンに移行するときの茶ベースの壁画調平面画がすきだった。
昨年の秋のシーのヴィランズ・ワールドで賑やかな冥界を歌うハデスが気になって観たんだけど、本作では冥界は暗くて怖くて救いのないところだったから、あれはパーク仕様の解釈だったのかな。ヴィランズ・ワールドのショーはすべてが最高だったよ…。


ヘラクレスのあとは久しぶりのお姉さんの友人と合流して温浴施設でのんびりしてきました。
温泉、岩盤浴、温泉。
お肌が最高のパフォーマンスをみせて、ずっとこうだったらいいのになあと思った。ずっと触っていられる。つるんつるん。
フィジカルの解放感がメンタルの解放も誘発して、体温も上がってぼんやりしてるのも相俟って何にも考えられないくらい頭空っぽになってた。温泉はすごい…。

そのあとはじめてアウトレットモールに行ったり、そこで新築祝いを買って友人夫妻の家に行ってみんなでごはんを食べたり、髪を切ってと言われて大人の人の髪を30cm程も切ったり、なんだか盛りだくさんで、でもどこかゆったりしている休日らしい休日でした。


誰もが誰かの視点では物事を認知できないので、どんなに状況や感想を共有しても人生を追体験することはできない。
どこかで生まれてどこかで育ってどこかで生きて、記憶しているか否かに関わらず、その全部を経験できるのは自分だけなのだなあと思います。誰しも。

こうしてつらつらと在ったことを書いても、その全容、例えば映画館の座席とスクリーンの配置から見える視界の範囲だとか、お風呂で寝転がりながら白い空を背景に葉裏の葉脈をみていたとか、そうしながら考えていたこととか、会話の全部やニュアンスだとか、そういう全部に全然至らない。
最近はずっとそういうことを考えています。



◁order:welcome board▷


f:id:knnl-ai:20160422112509j:image

◁order:welcome board▷
2016.3 
キャンバス、アクリルガッシュ


先月納品を済ませたオーダー品のお披露目が済んだそうなのでこちらにもアップします。

今回オーダー頂いたのは新婚の女性からで、「セルフウェディングパーティで使うウェルカムボードを描いて欲しい」とのことだったのでじっくりヒアリングしてきました。
詳しく話を聞いてみると、
「終わった後家に飾りたい」「自由に描いたものがいちばん良いと思うのでお任せで」という作品オーダーの趣向の方が強かったり、
ウェルカムボードは夫婦の顔や姿を描くのが一般的なので訊いてみたところ「顔を描く⁈」という反応だったりしたので、一般云々は無しにしてヒアリングで拾った情報や、本人の雰囲気やすきなものを元にイメージを色に散りばめて、夫婦がともにすきな猫をモチーフに仕上げました。


f:id:knnl-ai:20160422112558j:image
f:id:knnl-ai:20160422112612j:image
f:id:knnl-ai:20160422112622j:image
f:id:knnl-ai:20160422112651j:image

ヒアリング内容からいちばん印象的だった、
・カナダの街「バイロンベイ」の青(web検索の画面越しですが大変魅力的でした)
・小さい頃にお花を集めてティッシュペーパーを一箱丸々絞り染めにして、きれいに畳んで箱に戻して家族に使わせていた(これは聞いた言葉そのままの表現。家庭のやわらかさも見える)
・今の旦那様に告白されて、でもしたいことをしたいので、とカナダに行っている間待っていてくれた

この三つがとりわけすてきに思えてそれをベースに考えて描いていました。 
今まで出したことも無いような色が出たし、大変喜んでもらえたので深層のイメージに繋がる情報の共有は大事だなあと再認識。
こういうヒアリングからのフリーオーダーは依頼があるかぎりぽつぽつ続けていけたらと思います。

オーダーありがとうございました!!

f:id:knnl-ai:20160422113601j:image

本が選べなくてかなしい、なんてばかげたこと

f:id:knnl-ai:20160421203057j:image

本が選べなくてかなしい、なんてばかげたこと。


久しぶりに小説を買おうかな、なんて仕事終わりに一番近い本屋さんに行って、藤原伊織の新刊チェックしよう、なんて思ったけれど藤原伊織は私が知るより先に鬼籍に入っている作家だから新刊なんて出ないんだよ。
すぐに気がついて憤って無心で新刊コーナーはじめ書棚を散策するも、手に取った本もぱらりと見ても「時間が必要だな」とか「今の気分じゃないな」って、結局見知ったすきな作家の名前ばかりを拾おうとする自分に嫌気がさして、もう宮沢賢治の新装文庫や安部公房坂口安吾でも買って帰ろうかと思うもそれも保守側のやけっぱちだよなあと自分に失望して、
もしかしたらこのままずっと読みたい本なんか見つからないんじゃないだろうかって失望、絶望、もうこれは絶望だ、こんなかなしい気持ちで本屋さんにいたことってない。
昔はあんなに読みたい本で溢れていたのに。

孤独を意識するとき必ず関わりや誰かのことを考えているように、
喪失が現れるとき、必ず在ったことが立ち現れている。影みたいに。骨みたいに。

自分はこうして素晴らしい世界への切符を失って感動の尺度が狭く矮小になってつまらなく生きていくのだろうかってかなしい気持ちで、この書店にいた時にいつも読みたい本が見つかったこの書棚だけ見て、駄目だったら宮沢賢治新装本買って帰ろう(あるのに何度も買ってしまう本があるならそれは宮沢賢治の詩集だ)と諦めて、あいうえおから始まる作家の棚を見ていて、ふらり。

どうして目に留まる本、そのときの自分に必要な本って間違いなくぴたりと見つかるんだろう。こんな品揃えの悪い書店にあってさえ。

「お」から始まる作家名の棚に私はそれを見つけて、直ぐに買って直ぐに読み始めて久しぶりに没入を本の魔法を味わって、安心した。読んだことの無い作家の名前も知らなかった本だ。

世界にはあらゆる表現が溢れているけど、そのときその自分に必要なそれというのは厳しく断定されていて、だからそのときその自分がそれに逢えたってことは本当にきららかな日々の魔法の一つだ。

久しぶりに本への活況が身についたので、今日はまた新しく読む本を揃えてきた。
大丈夫だった。
佳いものを心からたのしめる自分がまだいたという、その安堵がまたどんどんそこに行かせる。
めでたしめでたし、というあるひとときの話でした。
ポポクロ読む。

f:id:knnl-ai:20160421204802j:image

ただなかの春

f:id:knnl-ai:20160419182659j:image

眠たいです。

春眠暁を覚えず、ってすごくない?
春眠、暁を、覚えず、だよ?
春の眠りは朝を知覚できない程気持ち良い、だよ?
こんなに抜群な語群はなかなかないな…。


私は眠ることが本当にすきで、時間と環境さえ許すならば黙々と何十時間も眠っていられるしそれが幸福と思ういきものなのですが、それをやってしまうと如実に日常生活に支障が出るのと実際にはなかなか予定も無く連絡も取れず黙々(それはもう失踪だ)と眠ることは難しいので夢の付随する夢でそれはもう夢…。。
たまにやります。


これは私が生きて言葉を排し続ける限り永遠に言っていきたいと思っているのですが、春、秋、そして梅雨のスリーシーズン、少し肌寒いくらいの日に、薄着で毛布にくるまって昼日中に眠るのが本当に幸福だし皆一度はそれをした方が良い。
素肌毛布はどうしてあんなに気持ち良いのか…。ノースリーブとか、ショートパンツとか、腕脚が出る服がおすすめです。


加えて最近は、先日頂いた一枚六千円のハイランクバスタオル、これを身体を拭くという短時間以外で触り続けてしあわせになる方法はないかな? と考えた末に、眠る時に肩に平行に横向きにかけることで最高の眠りを体感しています。
バスタオル(肩かけ)、薄手毛布、お布団。
最高だよ、最高だ…。。。
触感による幸福を強く実感することや、それによってどうにかなりそうなくらい高揚することってあんまり無いんじゃないかな。
無限幸福だよお布団。


昨日はベイマックスを観てびゃんびゃん泣いていました。劇場で二回観たぶりだった…最高…サンフランソ・ソウキョウ行きたい。アートブック欲しい。ベイマックスもう大丈夫だよぉ…!

こんな春めいた日はベストが大活躍です。
皆様良い春をね。
きんつば。

f:id:knnl-ai:20160419182718j:image



花の名前が知りたかった。

f:id:knnl-ai:20160418001625j:image

月がきれいだった。
花の名前が知りたかった。


夜にアニメーションの映画が観たくなって、DVDを借りに行った時、月に照り映える街路樹が美しかった。

私はその花の名前を知らなくて、きれいなものが咲いているってそれを見上げてた。
そのずっと上には月が照っていて、まだ言葉や名前のないずっと昔にこのきれいなものたちを見上げた人は、ずっと不思議でずっとこわくてずっときれいに見えたんだろうな。
もっと手の届くものにしておきたくて、名前をつけたいと思ったり、知りたいと思ったりするんだろう。
言葉は檻みたいなものなのかもしれないなあ。


月も樹々もたいへんうつくしく、春らしい朧な雲でした。
今夜もすてきだったけど、今年の一番は早春の井の頭公園で見上げた月かな。まるで置物みたいに佇んでいた水鳥が飛び立ったのに驚いた。
あの晩は佳いものばかりに満ちた晩だったな。得難い夜は秘密の箱の宝石みたいに残る。

f:id:knnl-ai:20160418003143j:image